帰国後、日本記者クラブで会見する安田純平さん 2018年11月 筆者撮影
先日、ジャーナリストの安田純平さんが、外務省からパスポート発給拒否されている件についての記事をYahoo!で配信しました。
本ブログ読者の皆さんは、安田さんや志葉のようなジャーナリストを応援してくれていることは重々承知ではあるのですが、あえて一言、言わせて下さい。日本での戦場ジャーナリストの扱いって酷くないですか?ここまで目の敵にされていると、もう日本の人々のために紛争地取材とかしなくてもいいかなぁ、という気にもなってきます。現地側からの発信は、非常に有益なものもありますが、それぞれの立場や状況によるバイアスはあるし、普通にフェイクや間違いもあります。諸外国の政府やメディアの発信も同じ。例えば、自衛隊イラク派遣のような日本にとっては重要でも、世界的にはニッチなテーマは、他国のメディアはあまり取り上げません。必要性がないから当然です。つまり、日本としての「情報自給力」が必要なのですけど、その価値が日本の人々にはわからないようで。
逆に言えば、欧米諸国の人々は民主主義にとってジャーナリズムは不可欠であると評価しているからこそ、シリア等で欧米諸国のジャーナリスト達が拘束された際に、皆が解放を強く望むし、解放された後は、英雄として母国に迎え入れているわけで。海外のジャーナリストたちに聞いても、日本で「自己責任」バッシングが行われていることや国がジャーナリストのパスポートを奪ったりすることに、酷く困惑すると口々に言います。
例えば、ナイフを持って人々を襲っている暴漢がいる時、警察官が危ないからと、ただ遠巻きに見ていますか?火事で燃えている建物の中に人が取り残されている時、消防士が自分も死ぬかもしれないから、とただ指をくわえて見てますか?報道も同じです。危険であっても、伝えるために、あえてリスクを冒さなければならない時もあるわけで。ただ、日本において、職務で警察官や消防士が亡くなっても「無謀」「自己責任」と言われることはなくても、ジャーナリストは叩かれるわけで。つまり、ジャーナリズムが社会にとってなくてはならないものだと、多くの人々が認識しているか否か、ということでしょう。
大本営発表のみで事実を知らされなかった結果が、先の大戦でのあまりに悲惨な犠牲だったわけですし、近年においても、イラク戦争で自衛隊を派遣した際には、主権者たる国民の知らないところで、日本政府は自衛隊に米軍のための兵員や物資の運搬、スパイ活動を行わせていたわけで。
まあ、それでも学ばず、ジャーナリストを厄介者にするのであれば、もう知らんわ、となりますね。紛争地取材は危険だし、メンタル・体力的にもきついし、経費はやたらかかるし、正直、自分ファーストならやる理由は何もありません。紛争地の人々のために、現地取材を行うことは動機としてはありえますけども、それも海外メディアのみに提供したっていいわけで。ここまで厄介者扱いする日本の人々に、命をかけて取材した情報をくれてやるもんか、ということも、まあ、(実際にやるかどうかは別として)考え方としてはあるということで。当たり前のように自己責任云々とか馬鹿げたことを言っているヒトビトに思い知らせてやろうかなぁ、という気もしないでもありません。
ネットで安田さんに対し罵詈雑言並べている層は、所詮、日本社会の全体から考えれば少数派なのでしょうけども、「最大の悲劇は悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である」(by キング牧師)ということですね。メディア関係者すら、この暴挙をただただ黙認している。そのこと自体が許しがたいです。
まあ、そういうわけで、より多くの人々に安田さんの裁判に御関心を寄せていただき、彼を応援してくれますと、志葉としても嬉しいです。本記事のシェアもよろしくお願い致します。
(了)
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