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ワクチン接種のリスク、結局どうなのか?報道はいかに伝えるべきか?

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 非常事態宣言下でもコロナ感染拡大が広まっている中、コロナ根絶のためには、一定期間、完全な外出禁止を行うか、或いはワクチン接種しかない、と言える。 ただ、ワクチン接種後の死亡事例もある中、報道においても報じ方が割れているかたちだ。つまり、ワクチンへの警戒感をヒステリー的、陰謀論的に報じたり、逆に個別事例をセンセーショナルに伝えたり、と真逆な感じだ。 いずれにせよ、この種の報道においては、白か黒かで一方的に報じるのではなく、データに基づく論議が必要だと思う。

 

 

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news.tbs.co.jp 直近の厚生労働省の統計(6月9日)だと、日本でのコロナ感染数は、75万5961人。うち、死亡者数は1万1328人、つまり全体の死亡率で言うと、約1.5%だ。一方、ワクチン接種件数(1回目)は直近の13日統計で、約1758万人。報道されている直近のワクチン接種後に何らかの原因で死亡した人は、直近で196人で、母数を上記13日統計とすると0.001%だ。さらに言えば、現状ではこれらの死亡事例とワクチン接種の関係は情報不足で「評価不能」か、或いは「評価中」であり、ワクチン接種が直接の死因になったと断言できる事例は国内ではまだない。統計の日付けが若干ズレているので、雑な計算になってしまうのだが、ワクチン接種後に死亡するリスクは、コロナ感染で死亡するリスクと比べ、桁違いに少ないということは確かだろう。ただし!若者の死亡率を比較してみると、ワクチンへの警戒感が全く何の根拠もないパラノイアであるとは言えない状況もある。

 

 

 

 厚労省ワクチン分科会副反応検討部会の統計(6月9日発表、この時点での死亡者数191人)で見ると、これまでワクチン接種後に死亡した40代未満の人は7人一方、コロナ感染で死亡した40代未満の人は33人。ワクチン接種した人数の母数と、コロナ感染者数の母数も比較してみる必要があるが、40代未満に限って言えば、ワクチンによる副反応のリスクと、コロナ感染のリスクを、どう天秤にかけるかは今後も精査していく必要があると言えるのではないか。他方、40歳以上のワクチン接種後の死亡者数は184人(40歳以上65歳未満で21人、65歳以上で163人)であるが、コロナ感染での死亡者数は、世代別で見ると、40代で90人、50代で266人、60代で827人、70代で2687人、70歳以上で7302人という状況である。

 ワクチン接種を行うことは、感染拡大の阻止という点で重要であるし、コロナ感染拡大を止めなければ、医療逼迫でコロナによる死亡率が比較的若い世代含めて高まることは避けられないだろう。コロナ感染の死亡率が約1.5%程度で抑えられているのも、適切な医療を受けられる環境があってのことだ。ただ、
個人の命を守るという点において、特に40代未満の層への接種については、するしないのメリット、デメリットを丁寧に伝えることも、報道において重要なのだろう。その際は、コロナ感染者数や死亡率、ワクチン接種数と死亡事例を、世代別のデータを明示していくことが大切だ。それもなしに情緒的に、ワクチン接種を義務だと報じたり、逆にワクチンが危険だと報じたりすることは、人々を混乱させるだけである。少なくとも、人々が自分で考え選択する客観的な材料を提供すべきなのだ。
(了) ※注:本コラムは6月15日現在の状況で書いたものであり、今後、より危険で感染力の強いインド株が大流行するようになると、また状況が変わるかもしれない。


 

 

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