新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための、厚生労働省クラスター対策班の専門家である、西浦博教授(北海道大学)は、先月末31日までのツイッターで、「戦争状態になっても冷静でいられる気持ちの準備を」「これまで日本で見られなかったレベルの流行に成り得ます」等と連投。「呼吸が苦しいのに助けられず死んでいく人が出る。助けてほしいのに病院が溢れる。助けたい医師や看護師も数多く感染する。近しい親族や好きな人の安全が守れない」と、このままでは感染流行を防げないと悲観した。
戦争状態になっても冷静でいられる気持ちの準備をして下さい。見たくない未来が待っているかも知れません。僕と僕の好きな若手たちが今までできたことは結果論として可能な限りの時間稼ぎ、というだけになるかも知れません。これまで日本で見られなかったレベルの流行に成り得ます。 4/7
— Hiroshi Nishiura (@nishiurah) 2020年3月31日
呼吸が苦しいのに助けられず死んでいく人が出る。助けてほしいのに病院が溢れる。助けたい医師や看護師も数多く感染する。近しい親族や好きな人の安全が守れない。そんな事態が十分に想定されます。そんな事態でも、僕と押谷先生でクラスター対策でやったように、僕は日本人を信じてます。5/7
— Hiroshi Nishiura (@nishiurah) 2020年3月31日
他方で、今月4日には、爆発的な感染流行を防ぐためには、人々の接触を8割を減少させることが必要だと訴えた。つまり、欧州並みの都市封鎖=「ロックダウン」が不可欠だとしているのである。
報道発表された図への質問が多かったため、西浦より解説します。
— 新型コロナクラスター対策専門家 (@ClusterJapan) 2020年4月4日
わかりづらい用語がでてきたら、#新型コロナクラスター対策用語定義
を、参照してください。 pic.twitter.com/stMBS3Cjoz
新型コロナは感染力が非常に強く、感染者の2割が重症化する。母数が増える、つまり感染者数が爆発的に増えた場合、重症化する人もそれだけ激増する。それは、医療崩壊を招き、現状、数に限りある人工呼吸器が足りずに、命を落とす重症者が相次ぐという、イタリアのような大惨事を招くということだ。
だからこそ、西浦教授はロックダウンの必要性を訴えているのだろうが、専門家はあくまで科学的な助言を行うのが仕事で、ロックダウンするか否かは政治判断だ。だが、人々の外出を極端に制限する場合、マスク2枚でお茶を濁すのではなく、休業補償や生活保障を大至急に行わなければ「コロナではなくて経済苦で死ぬ」ということになりかねない。感染拡大を阻止しつつ、人々の生活も守る手立てを両立させるべきだろう。
(了)