2019年2月20日 衆議院第一議員会館 第1多目的室 Rob Kajiwara記者会見 9分25秒
議員会館で会見するロブ・カジワラさん(中央) 提供:田中遊梦さん
沖縄県名護市辺野古で建設中の米軍の新基地について、その建設中止を米国政府に求める請願署名の発起人となった日系米国人のロブ・カジワラ(ロバート・梶原)さんが、先月19日、大阪入国管理局関西空港支局によって不当に一時拘束された。この件について、カジワラさんが「屈辱の110分」について語った。
◯21万人が署名、著名人も支持した辺野古新基地の建設中止
米国ハワイ在住、沖縄系4世の音楽家であるカジワラさんは、今年1月、辺野古新基地建設の中止を米国政府に求める請願署名を呼びかけた。多くの人々がこれに賛同し、ロックバンド「Queen」のギタリストのブライアン・メイさん、モデル/女優のローラさん、お笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんなど著名人も協力を呼びかけたこともあり、署名は21万筆以上集まった。
カジワラさんは、辺野古新基地を問う県民投票にむけての国会議員との面談や記者会見のため、先月19日晩に関西空港から来日した。ところが、これまで幾度も来日し、それまで何の問題もなかったにもかかわらず、今回は'''大阪入管の係員達に身柄を一時的に拘束され、執拗に入国目的を問いただされた'''のだと言う。
羽田空港への乗継便に遅れそうだったことや、入管側の態度に強い不安を感じたことから、カジワラさんは、沖縄県の知人に連絡。その知人が、照屋寛徳衆議院議員に事情を伝え、同議員が大阪入管に電話したことで、カジワラさんは解放された。
◯大阪入管の言い分と疑問点
なぜ、大阪入管はカジワラさんを一時拘束したのか。大阪入管・関西空港支局の広報担当者は、筆者に質問に対し、以下のように回答した。
・短期間に複数回、日本に来ている外国人に対しては、就労ビザを取得せず日本で働くことを目的に来日することもあるので、来日目的について詳しく聞くこともある。
・カジワラ氏に日本での予定を何度も質問したのは、本人の言うことに齟齬がないか確認するため。
・通訳を介すので、確認には時間がかかる。2時間という足止め時間は特に長いものではない。
・政治的な意図はなかった。
だが、'''カジワラさんの来日目的の確認については、日本で講演を企画している主催者に連絡すれば、すぐに確認できたのに、それをしなかったことや、2時間程度の拘束で済んだのは、照屋寛徳衆院議員ら国会議員が大阪入管に連絡したため'''。それがなければ、さらに長引くことは間違いなかったことなどから、大阪入管側の説明には疑問を持たざるを得ない。
また、照屋衆院議員からの電話の後、入管の職員達は'''「私達も好きでこのような対応をしているわけではなく、上からの指示でやっているだけ」'''とカジワラさんに釈明したという。その「上からの指示」とは具体的に何を示すのか。この点については、大阪入管から明確な回答は無かった。
◯カジワラさん、大阪入管を批判
大阪入管に一時拘束されていた約110分間の間、一体何があったのか。カジワラさんは議員会館での会見で、自らの体験を語った。カジワラさんは先月19日の18時50分頃、関西空港での入国審査で、別室に連れて行かれたと言う。カジワラさんは、何の説明もなく20分程待たされたため、沖縄の知人に電話していたところ、入管の係官は激怒して「(携帯電話を)取り上げて捨ててしまうぞ」と凄んだのだという。
さらにそこから別の部屋に連れて行かれ、「日本でどういう事をやるつもりか?」「どういった会合に参加するのか?」と繰り返し聞かれたのという。カジワラさんは自分が出演する予定の沖縄関連イベントのフライヤーを見せて説明したが、「とっくに答えた質問なのに、彼らは繰り返し同じ事を聞いてきた」とカジワラさんは言う。
「関西空港から羽田空港に行くフライト時間が迫っている」と訴えたカジワラさんだったが、入管係員らは「それは我々の問題ではない」とはねつけた。照屋衆院議員からの連絡で解放されたカジワラさんであったが、危うく羽田行きの飛行機に乗り遅れるところだった。不幸中の幸い、飛行機の出発が遅れていたので、何とか羽田空港までたどり着いた。
カジワラさんは、一連の大阪入管の対応について、「ちゃんと紙を見せたりして答えた。でも同じ質問繰り返しているだけで、はっきり言って時間の無駄と言う以外ない」と批判する。「これまで何度も来日しているが、このようなことは初めて。(沖縄の基地問題を東京で訴えることを妨害するために)羽田空港行きの飛行機に私が乗れないようにする為だったのではないか」との疑念を示した。
◯新たな辺野古反対の署名を開始
カジワラさんは「日本政府は沖縄の人々を全く尊重していない」と嘆く。カジワラさんは、米国政府や同国の人々にも沖縄の基地問題を伝えるため、辺野古新基地建設の中止を米国政府に求める新たな署名を開始した。
この署名は前回と同じく日本はじめ世界各国の人々が署名できる。請願サイト「We the People」での署名は英文であるが、サイト右側の記入欄に、名前(First name)と名字(Family name)、メールアドレスを書き込み、緑の"SIGN NOW"というボタンをクリックするだけと簡単なもの。その後、「We the People」からメールが届くので、"Confirm your signature by clicking here"(署名を確認)という部分を48時間以内にクリックすることで、署名は完了する。
カジワラさんは「多くの人々が声を上げることが重要だ」と強調する。署名が1ヶ月以内に10万筆に届けば、米国政府としても正式に要望として対応を検討するとのことだ。
(了)
#辺野古 #沖縄 #米軍基地問題